『涙の理由』

ファム・ディン・ソン
1963年、ベトナムサイゴン生まれ。1981年にボートでベトナムを脱出、フィリピンの難民キャンプを経て、1982年に来日以後、日本に定住。1994年、司祭となる。現在は、静岡県内のカトリック三島教会と熱海教会の主任司祭を務める傍ら、在日ベトナム人連絡協議会代表、滞日・在日外国人の支援活動にあたっている

ベトナム難民から神父になった男。彼がベトナムを脱出し、漂流している処を日本籍のタンカーに救助されるのだが、その際にタンカーの船長が流した涙の理由を探す。
ボートで漂流する恐怖と難民としての境遇が誇張されずに述懐されており、それが余計にリアリティを増す。涙の理由についても、物語のための話になっておらず良し。何事かをなさんとす人には、それだけの理由があるんだな。僕には笑みにすら理由がない今日この頃・・・。